ユネスコ世界ジオパーク 山陰海岸ジオパーク
日本海形成に伴う多彩な地形・地質・風土と人々の暮らし
HISTORY
山陰海岸ジオパークは貴重な”地球活動の遺産”
山陰海岸ジオパークでは、様々な岩石や地層、多彩な海岸地形、滝や渓谷など、貴重で美しい地形・地質を観察することができ、その姿はまさに「地球活動の遺産」といえます。
ジオパークとは
「ジオ(geo)」は、地球や大地という意味の接頭語で、ジオパークとは、科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産を含む一種の自然公園です。
地質や地形は、地球の歴史を物語っているだけでなく、人の暮らしや文化に直接結びついています。
この大地の営みをひとつの遺産として学び、楽しむのがジオパークです。
ヨーロッパの各国、中国、日本など世界各地のジオパークが加盟する世界ジオパークネットワーク(GGN:Global Geoparks Network)は、2004年にユネスコの支援により設立されました。
山陰海岸ジオパークは2010年10月にGGNに加盟認定、2014年9月にはエリアを拡大して再認定されました。2015年、世界ジオパークはユネスコの正式事業となりました。
ジオパークの楽しみ方
ジオパークでは、その素晴らしい自然を見たり、体験できるだけでなく、
その大地の成り立ちと関係した生き物や人の暮らし、歴史や文化に触れることができます。
各施設はジオパークについての様々な情報を得ることができるだけでなく、
地域のことをやさしく解説してくれるジオガイドが常駐しています。
ジオガイドの案内で、新しい視点で景色を見ることができれば、
大地の素晴らしさの背景や、歴史や文化の知識に深みが増してきます。
ぜひジオガイドの案内するツアーに参加しましょう。
そして、学習の後は、ゆっくりとその地を楽しみましょう。
地元の美味しい料理を味わい、ジオの恵みである温泉にゆったり浸かって疲れを癒しましょう。
これもジオパークの楽しみ方です。
山陰海岸ジオパークのテーマと特徴
山陰海岸ジオパークは、京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(岩美町・鳥取市)にまたがる広大なエリアを有しており、山陰海岸国立公園を中心に、京丹後市の東端から鳥取市の西端まで、東西約120km、面積は2458.44㎢で、東京都よりひとまわり大きい広さになります。
日本海形成から現在に至る様々な地形や地質が存在し、
それらを背景とした生き物や人々の暮らし、文化・歴史に触れることができる地域です。山陰海岸ジオパークの最大の特徴は、約2,500万年前にさかのぼる日本海形成に関わる
火成岩類や地層、日本海の海面変動や地殻変動によって形成されたリアス海岸や砂丘をはじめとする
多彩な海岸地形など、貴重な地形・地質遺産を数多く観察できることです。
山陰海岸ジオパークには、日本列島がアジア大陸の一部であった頃から現在までの、
多様な地形や地質が存在しています。
そして、それらがもたらす多彩な自然を背景にした人々の文化や歴史があります。
地形・地質学的特徴
(1)日本海形成に関わる多様な火成岩・堆積岩層の分布とそれらの岩石海岸での露出
(2)日本海沿岸の多様な海岸地形
(3)日本海形成後も引き続く火成活動による火山噴出物・火山地形
(4)第四紀における地磁気逆転期の発見サイト(玄武洞玄武岩)
(5)火成活動の影響を受けた豊富な温泉資源
(6)日本海沿岸で生じる第四紀地殻変動を示す活断層・海岸段丘
3つの時代に分けられる山陰海岸の大地の歴史
山陰海岸ジオパークの大地のできる過程は、大きく
「日本がまだ大陸の一部だった時代」
「大陸から分かれ、日本海ができる時代」
「日本列島ができてから現在までの時代」に分けられます。
人と自然の共生
山陰海岸ジオパークでは、地質遺産をはじめとした多様な地域資源を地域住民、
民間団体、企業、行政が協働して保全するとともに、教育、観光、地域産業に活用することで、
持続可能な地域社会を目指した活動が行われています。
◆鳥取砂丘のラッキョウ(鳥取市)
鳥取砂丘は、鳥取大学砂漠研究所(現:乾燥地研究センター)を中心とした砂漠緑化への研究をはじめ、自然資源である地球の大地を活用して砂丘ラッキョウの栽培が盛んです。毎年10月下旬から11月上旬にかけて、約110ヘクタールの広大な畑に、赤紫色をしたラッキョウの花が咲き乱れます。
◆丹後砂丘の果物栽培(京丹後市)
京丹後市の丹後砂丘では、砂丘地を利用した果物栽培が盛んです。夏は糖度の高い「スイカ」や「メロン」が収穫を迎えます。「京かんしょ」としてブランド化されたさつまいもの栽培も行われています。