山陰海岸国立公園

地形地質の博物館

HISTORY

山陰海岸国立公園とは

山陰海岸国立公園は、京都府の丹後の網野海岸から兵庫県の但馬御火浦を経て鳥取県の東部の鳥取砂丘までの日本海に面する75kmの海岸線を中心とする日本の国立公園である。当公園を中核とするエリアが世界ジオパーク「山陰海岸ジオパーク」に認定されている。

山陰海岸国立公園の特長

山陰海岸国立公園は、東は京都府京丹後市から西は鳥取県鳥取市に至る約75kmの海岸部が指定されています。山地が直接海に接するリアス海岸(沈水海岸)で、海食崖、海食洞、岩礁などが著しく発達し、海域と一体となった変化に富む海岸景観が特色となっています。その一方で、海食や河口から運ばれた砂により形成された鳥取砂丘に代表される開放的な砂丘の景観も特色となっています。このようにこの国立公園では特質な地形が随所で見られ、また、これらの地形はさまざまな岩石から成っていることから「地質の公園」、「岩石美の公園」とも呼ばれています。
平成22年には山陰海岸国立公園を中心とする「山陰海岸ジオパーク」の世界ジオパークネットワークへの加盟が認定され、山陰海岸の重要性が世界的にも認められています。

地形・景観

山陰海岸国立公園の特色ある景観を形成する海岸は主として岩石海岸です。日本海の荒波と季節風による侵食・風化により、海食崖、海食洞、岩礁などが著しく発達し、海岸線は複雑に入り組んだリアス海岸(沈水海岸)となっています。また、その岩石は種類が豊富で多様な地質構造を持つため、特異な地形を随所で形成します。岩石海岸と対照的な景観となっている砂浜海岸は、海食で生じた砂や河口から運ばれた砂により形成され、代表的な鳥取砂丘では砂の移動に起因する特異な景観を作り出しています。
地質は、玄武岩・安山岩・流紋岩などの火山岩(節理の発達したものが各所に見られる)や火山砕屑岩と礫岩・砂岩・泥岩などの堆積岩を主とし、一部では花崗岩も見られます。このような岩石が作り出す地層の重なり、不整合、岩脈節理などの多様な産状や地質構造も山陰海岸国立公園で見ることができます。

山陰海岸国立公園の取組み

■鳥取砂丘景観復元事業
鳥取砂丘では、砂の移動が弱まったことなどにより本来砂丘に生育していた植物以外の植物の進入が著しく、これによってさらに砂の移動が抑えられ、砂丘特有の風紋などが見られなくなるなど砂丘独特の景観が損なわれてきていました。
そこで、鳥取県、鳥取市が中心となり、除草作業を行っています。現在では砂の移動がよみがえり文字どおり「生きた砂丘」が戻りつつあります。

■パークボランティア
国立公園において、自然観察会などの解説活動や美化清掃、利用施設の簡単な維持修理などの各種活動について、自発的に協力していただける方々を環境省がパークボランティアとして登録しています。 山陰海岸国立公園のパークボランティアは、主に竹野スノーケルセンターを活動拠点とし、シュノーケリング、磯の生き物観察などの自然解説活動を実施しています。これ以外にも海岸清掃、自然情報収集、生物生息状況調査も行い、訪れる方に山陰海岸国立公園の魅力を伝えています。